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zoom RSS 巻きついた鎖〜蝕まれる心

<<   作成日時 : 2012/01/13 11:41   >>

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「受話器の向こうの沈黙」 
 生徒を教え始めて最初の発表会の事だった。
 発表会費の締め切りが迫っているので、私はママに電話した。
 間に合わないと困るので、持ってきていただけるようにお願いすると、相手は黙ってる。
 電話で相手に沈黙されると、どうしようと思う。
 とにかく何か話しかけても、口ごもってて一言も何もない。

 かすかに笑ってるような感じ。
 仕方なく「じゃあ、私立て替えておきます。」と言うしかなかった。

 私が会費を立て替えたのは、このご家庭のだけ。

 支払いを滞らせると誰かが困る。
 それでも自分の欲を通す。
 自分の立ち位置を分かってて、静かに強制してくる。

 そういう人。


「巻きついた鎖」 
 生徒が小学生の時、フロッピーが不調になり使えなくなった。
 「来週、持ってきてね。」と頼んでおいたが生徒は持って来ない。
 「どうしたの?」 と聞いたら
 「今までのが使えるから買わなくていい。要らない。」と言う。
 母親がそう言ったのだ。
 結局、私のを提供することにした。

 フロッピーの不具合なんだから、自宅のオルガンにセットしたらすぐに分かる。エラーの表示が出るしメモリーされてる音色が出てこない。

 でもこの母親はそういった物事の確認や探求はしない。
 
 子供の言うことを信用せず、自分を通さないで何かを買ったり決めたりすることを一切認めない。
 たとえ90円でもお金を出す事には応じない。
 母親の底意地の悪さがよく出てる。
 そういうエピソード。 



「嵐の後の静けさ」 
 生徒が高校生の時、教室から帰宅してまもなく連絡が入った。

 母親からの電話。
 教室へ財布を置き忘れたという内容だった。
 
 結局「明日の朝見に行きますから。」ということで電話を切った。

 この時もどうして欲しいとか頼まない。
 「申し訳ないんですけど…。」「お願いできませんか?」
 というような言葉を一切使わない。

 「取りに行きたいけど、どうすればいいですか?」などの質問も一切しない。
 相手にただ状況を聞かせ、戸惑わせる。
 困惑したお互いのやり取りがあるだけ。

 自分は言葉に出して頼まず相手に切り出させる。
 そして用が済んでしまうと、何事もありませんでしたみたいな淡々とした空気に戻る。
 相手が言い出した事だから、自分は関係ない。
 そんな空気が漂っている。
 



「蝕まれる心」 
 生徒がレッスンを休む時は 教室の受付に電話してもらう。

 たいてい当日、連絡を受けた楽器店の人が、私の自宅へ知らせてくるというパターン。  
 「王子様の静かな反乱」で書いてるように、うちの教室、受付のコーナー閉鎖されてるから、別のセンターを経由して連絡が入ってくる。
 ママが完全管理してるから、いつ行っていつ休むかもママが決めて、もちろん連絡もママが入れる。

 生徒はノータッチだった。

 高校生ぐらいまではまあ順調だった。

 それでも1年の内に1回位は知らせが届かず、私は教室で一人ポツンと待ちぼうけ という事もあった。
 生徒が大学受験を間近に控えたあたりから、連絡ミスが徐々に増えていったように思う。

 私が困るのは、どちらに責任の所在があるのかハッキリしないこと。
 ママは子供が伝えたと思ってるのか、明確に説明しない。
 何も言わない。
 
 不備があっても責任者が曖昧だと、どちらも謝る必要ないんだよね。

 普通は平然としていられないよ。 
 例えば友達同士で待ち合わせをすっぽかしたり、約束通りに行かなかったら慌てるよね。
 少しは動揺するはず。

 でもこの二人にはそういう様子は無い。
 

「冷気に包まれた夜」 
 真冬の雨の日、身支度を整えて教室まで出掛けて行って、部屋で待機していた。
 レッスン時間を当に過ぎても生徒は来ない。8時に近づいて休みだと実感する。
 連絡し忘れだね。坊やは関与してないからね。前の週のレッスン時に言い忘れたか、その後来れなくなったのを、ママが連絡し忘れか。どっちにしても待ちぼうけの前後1時間。
 気楽でいいって事はないよ。教室内の点検と戸締りを済ませ、建物を出る。
 冷気が身にしみてくる。
 傘が揺れて水滴がかからないように気をつけて歩く。
 水溜りを踏まないよう冷たい足元を気にしながら帰っていく。


 ほんの少し注意を払ったり、関心を寄せてくれたら、私は走り回ったりせずに済むし、二重手間を避けたり無駄骨を折らずに助かる。そういうことは幾度となくあった。
 こっちが困るのを分かってて、或いは後でそれが分かっても知らない振りをする。
 私には関係ありませんという素振りでいる。




ノンフィクション
『エリート志向の闇〜平気で嘘をつく子供』の紹介記事でした。

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