女王様の誤算

 母親は生徒が高校生の時、中間、期末テスト時期には必ず休ませてた。月4回のレッスンが2回になった。
 その頃の母親の第一目標は 息子の一流大学入学だったみたい。
 母親の立てた計画に沿って逆らわず、動いていれば順調な日々。

 お金の事で口を開けば文句を言う反面、習わせ方はたいへん贅沢なものだった。

 家から教室まで往復1時間はかかる。
 道路が混めばそれ以上。大型RV車でガソリン代もかかるはず。
 それも息子一人じゃない。妹と弟、週3日別々に送り迎えだもの。
 最高にコストのかかる習わせ方。

 分かった。
 車の運転が大好きなんだ。
 それとレクチャーも好きだね。


 私にもレクチャーする母親。
 私と生徒がレッスン中に使ってみようと話し合って決めた楽譜があった。早速購入して渡したら、次の週「聞いていない。」という生徒を通しての伝言。

 母親がこだわってるのは、自分の了解を得ないで勝手に先生と子供が何かをすること。必ず自分の了解を得てからにしろって。そういうこと。

 だから高校生になっても、自主性、判断力、決断力は尊重されない訳。

 母親が取り仕切る。全部ね。
 先生も余計なことはせず、母親の言うとおりに動いてればいい。
 そういうことらしい。 
 プロが一番心得ている教え方について電話で講義する人。
 最初何を言われてるのか、何を言おうとされてるのかわからなかった。でもよく聞くと指導方法の細かい指示だった。

 他人の領域も自分の領域も区別無い人。
 自分が素人だという認識がない。
 いや、音楽教室の先生を専門職として見てないのか…。





 とにかく目標は母親が決める。本人ではなく。
 本人が希望も切望もしてないのに いくら命令を下しても限界はある。

 そんな騙し騙しの状況も生徒の大学入学を境に様子が一変していく。




 「王子様の静かな反乱」につづく


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