雨の日の買い物

 新しい楽譜が必要になって生徒に買うよう促してた。
 高校生になって曲の好みもけっこう出てきた。
 ヒットソングなどの楽譜は直接本人が買いに行った方がスムーズ。 
 だけど生徒はためらっててハッキリしない。
 準備が遅れたら、週単位で先延ばしになる。
 それも嫌だし結局、私が買いに行くことにした。


 2002年の9月の事だった。
 当時母が入院してたので、私は電車で一駅の病院へ通ってた。
 楽譜を置いてるセンター教室が、幸いその近くにある。
 なので病院帰りに寄る事にした。
 その日は雨が降っていた。
 私は洗濯物の入った大きなバッグを抱えて傘をさし、お店に立ち寄った。楽譜を選んでレジでお金を支払い、荷物と紙袋に入った楽譜を濡らさないよう気を使いながら、自宅へ持ち帰った。

 翌日のレッスン、生徒に購入した楽譜を手渡すことができた。
 立て替えたテキスト代は、次週いただくことになってるので、そのメモをつけておいた。

 すると次の日の午前中、センター教室から私の家に電話が入った。
 「会員なのに割引になってないとおっしゃってるんですけど…。」
 困った様子でいつも応対している女の人の声。

 生徒の母親が受付へ、早速クレームの電話を入れてきたのだ。





 私は返す言葉が無かった。
 有り得ないよ。そんな文句つけられるなんて。

 自分でカードを持って買いに行って割引にならない、そういう文句なら分かるよ。
 他人に買いに行かせてる。
 それも一応先生なんだけど。
 その上割引分も負担しろと?
 他人のを買って規定の5%割引にはならない。
 カードが要ります。そのための会員カードなんだから。

 生徒のため 新しい楽譜を買うのは楽しいもの。
 徒労がどうとか感じたことも無い。
 でもこの時だけはね、背中が冷たくなるのを感じたよ。

 自分たちで買いに行こうと思えば行ける。
 週3回車でこちらへ出向いてるんだから。
 でも息子がそれを言い出さないのは、母親がいつも金のことで文句を言うから。
 母親はお気楽なもの。言いたい放題文句タレ流して。
 自分たちの住んでる家の近くにも楽譜売ってる教室はあるのに、そっちでは絶対に買おうとしない。
 割引にならないからって。



                          (雨の日のお買い物)








 だいたい2500円前後する楽譜の5%って125円だし。

 セコいよ、いくらなんでも…。 


ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』より


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