岐 路

 君が小学生の時、ママは私に言いに来た。
 「上級グレード取得させます。」 とね。
 理由は 「資格があったら将来副収入になる。
 本業だけで足りない時に、演奏でお金を得て、副業として…」
 あれもこれも、欲張りなママらしい。



 レッスンが順調に運ぶようになったのは、坊やが高校生になってからの事。

 テストや勉強があるため、無理の無いように、ヒットソングなど中心に、楽しめるようお願いします。ママが教室まで足を運んで、私に意向を伝えに来た。
 功を奏したんだね。そういう習い方が。
 序々に花が咲いていく、幸せな時間。
 でもそれも長くは続かなかった。
 
 高校3年生の頃から、ピアノに興味を持ち始めて、自分流の演奏スタイルで名曲を弾くようになった。そして電子オルガンには興味を失くしていった。
 もちろんグレード取得そのものにも 情熱や執着なんて皆無。
 ピアノを欲しがっていて、時間があったら空いてる部屋で弾いてたね。

 大学生になったら、演奏ジャンルが絞られてきた。専門分野の先生に就けばいい。何にトライしても壁にはぶつかるから。勉強になるよ。
 自分自身が目指したものと他人に押し付けられたものとでは、意味が違う。
 そんなこといちいちママに説明はしなかった。車の側でこんな内容、立ち話する気になれなかったし、部屋に入ってもらうには、車を駐車場に預けないとね。
 気が引けるよ。
 
 何にチャレンジしても挫折はあって当たり前。
 どこが最良のターニングポイントかなんて、誰にもわからない。
 自分と向き合って、気持ちを表明すればいい。
 現場に居るのは君なんだから。現場に居る人が主体性を持って歩いていかないのはおかしいよ。中学生じゃないんだしね。




 だけどボクは動かない。動けない。

 ママの囲いから出て行こうとはしない。

 20歳を過ぎても、事態は変わらない。


 親子間だけで物事が回っている場合はそれでも構わない。ただ他人が1人でも関わるとそれは社会になる。社会と対峙する。
 相手の苦悩や痛みを感じ取れないうちは、
 囲いの外で通用するものを生み出せないって事だよ。




ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』の紹介記事でした。


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