平気で嘘をつく子供 Ⅱ

 生徒の母親からもフォローは一切無い。
 連携や協力関係とは程遠い。
 車の側で立ち話をして、自宅へ電話もして、私が気にかけてることは充分過ぎるほど分かってるはず。
 でも嫌なんだよね。子供のミステイクを謝ったりするのが。
 自分が嫌なら息子にかけさせたらいい。
 携帯でも自宅電話でも、そんなことすぐにできる。
 でもしない。 
 私より一週間も前に事実を知ってて放ったらかし。
  

 無駄に結果を待つだけで、すでに一ヶ月も経過していた。
 先生として私が一番真っ先に知るべき情報。
 それが一番あとの、一番後回し。

 わざわざ月謝を払って仕事を依頼しておいて、妨害する。
 自分で自分の足を引っ張る生徒なんていないよ。
 小、中学生ならともかく、そんな大人の生徒はどこにもいない。
 嫌ならとうに辞めてるさ。
 ここまで世界観が歪んでたなんてね。


 君にとって、母親にどう思われるかが最重要事項。

 その大きな存在の前では 影すら認識されない。

 存在意義すら感じてもらえない。

 自分の存在する意味が無いと思った。

 先生としての存在を否定されたら終わり。無意味。
 何のために12年も関わってきたのか。

 あの瞬間全てが終わった。    
 

 君は平然としてたよ。あの一ヶ月の間。
 合否の結果が届くまでは待機状態。
 比較的自由にレッスン時間を過ごしていい。
 自分の好きな曲を弾いたりおしゃべりしたり、小休止期間だね。
 君はバンド仲間から着信があったと部屋を出て携帯をかけて話したり、
 普段はしないことを伸びやかにね。

 「嘘ついてました。」その言葉も平然として発するんだよね。




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ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』

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