酸欠と蒸し暑い午後

 発表会の申し込み用紙を渡した次の週、会費と用紙を受け取る手はずでいたけど、生徒は持って来ない。
 どうしたのか尋ねても、はっきりしない。準備してあって持ってくることを忘れたのか、それとも準備することも忘れて放置してたのか、どちらかわからない。

 とにかく、来週では締め切りに間に合わない。

 レッスンが終了後、車に戻っても発車せずに待ってもらうようお母さんに伝えてと生徒に頼んだ。
 大急ぎで教室の戸締りをして走って行く。

 母親は申込用紙なんて受け取っていないみたいで、今聞きましたみたいな対応。しかも全然慌てた様子もない。
 あせっているのは私だけだね。
 当然だよ。お金の立て替えだけはしたくない。
 後で何度催促しなきゃならないのかと思うと、苦痛でたまらない。
 3日後、母親は弟さんのレッスンでこっちへ来る。直接会えるのはその時しかないから、私が教室へ出向いて受け取る約束をした。
 これでひとまず安心。坊やはこの時高校2年生。しっかりしてもらいたい。
 けど追求も注意もしなかった。
 


 3日後、無事受け取りに行くことができた。

 家に戻って封筒を開けたら、金額が足りない。
 しまったと思った。
 その場で確認しなかった私のミス。
 通常なら一応開けて数えるけど、その時は個別教室の外のフロアで母親から申込用紙と一緒に受け取った。

 人目のある落ち着かない場所。
 立ち話をし、母親はすぐに出払った。 

 まさか足りてないとは疑いもしなかった。
 後で請求はできない。
 証拠が無い。
 母親は納得しない。


 そのやり取りだけで何時間かかるかと思うと、力が抜けたよ。

 湿度が高く、その日は昼から普段より気温が上昇してた。
 教室との往復で何度も汗が滲んで着替えないと…。 

 力が抜けて自分の部屋で座り込んでしまった。







ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』

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