巻きついた鎖

 いつだったか、レッスンで使用してるフロッピーが不調になり使えなくなった。
 フロッピーはデリケートなのでたまにそういう事もある。
 レッスンで必要だし、生徒に来週持ってくるよう頼んでおいた。
 当時はワープロが普及してて、たいていどのお宅にもフロッピーの買い置きはあったと思う。
 家に置いてなくても、家電量販店や、スーパーや、コンビ二でも売ってる。一枚90円位だし、子供のお小遣いで買えるよね。
 

 ちょうど同時期に坊やと同じ小学3、4年生の生徒のが不調になって、「家に買い置きある?自分で用意できる?来週持ってきてくれる?」と頼んだら、次の週その生徒は新しいのを持ってきた。
 家にあった物か買ってきたのかは知らない。
 そんな大変なことじゃない。
 わざわざ親に電話したり、手紙を書いたりする大げさなことじゃない。
 簡単にすぐ済むこと…そう思っていた。

 ところが生徒坊やは持って来ない。
 「どうしたの?」と聞いたら
 「今までのが使えるから買わなくていい。要らない。」 と言う。
 ママにそう言われたみたい。
 
 フロッピーが無いとレッスンが進まない。
 グズグズしてると週単位で先送りになってしまう。
 仕方ないから次の週私が用意したのを渡した。
 もちろん事情を書いたメモをつけて。

 するとまた翌週、今度はママが教室までやって来た。
 フロアの椅子に腰掛けて待機してたね。
 それでまた教室内に入ってもらって、今回の事を説明して、フロッピーの扱いや家での保管の仕方など色々…。
 なぜこんなに物事の一つ一つが大げさになるのか、その時は私もレッスンを順調に運びたいし、深く考えもしなかったけど、ちょっとやり辛い人だなとは内心思った。


 フロッピーの不具合なんだから、自宅のオルガンにセットしてみたらすぐに分かること。
 エラーの表示が出るしメモリーされてる音色が出てこないから、それで確認できる。個人レッスンの以前からグループレッスンで既に何年か習ってるから、子供と同じように扱いは知ってるはず。
 でもこの母親は、そういった物事の確認や探求はしない。








 この母親が気に入らないのは、子供と先生が勝手に何かを決める事。 

 子供の言うことを信用せず、自分を通さないで何かを買ったり決めたりすることを一切認めない。
 たとえ90円でもお金を出す事には応じない。
 その後の数々の出来事を象徴してるよね。


 母親の底意地の悪さがよく出てる。
 そういうエピソード。 


 あまりにも印象的で忘れられない事のひとつ。
 





ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』

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