荒 廃

 母親は、息子が自分の望み通りの大学に入れなかったことで強い不満を抱き、子供は子供で自分を認めない親に対して反発する。
 それまで母親に逆らわず、自分を抑えて従ってきたのに、期待に添えなかった途端、冷たい言葉を浴びせる母親に裏切られたという思いが生じる。

 大学入学を機に亀裂が入る。
 どんな自分でも愛してくれるかどうか、今までと同じ様に大切にしてくれるかどうか、坊やの遅い反抗期かもしれないね。
 
 こんな荒れた状態だから、他人への配慮は益々無くなっていく。  
 人が何にこだわりを持って生きてるかなんて、知ったことじゃない。
  
 人を自動販売機か何かのように扱う。
 金を入れてるんだから、文句言わずに自分たちの望みだけ聞いてろ。    
 そんな対応。

     


 君は平気で嘘のつける嫌な大人になった。 

 元々君は小さい時から、母親に日常的に小さな嘘をついてきたようだね。

 教室のレッスンに行きたくないから。練習をさぼりたいから。 
 
 ほんの小さな嘘。母親はそれに対応するのにいちいち傷ついていられない。
 将来の目標に向かって先へ進むだけ。
 やがて感覚は麻痺してくる。
 自分の気持ちに鈍感になってくる。当然、他人の気持ちにも鈍感になる。

 どこの親子にも多少はある葛藤だったものも、子供の成長と伴に、二人の間だけの事では済まなくなる。
 しかし第三者を巻き込むことの大きさが分からない。  


 二人だけの世界で止まったまま。


 *     *     *      *     *     *      *      



 母親の順調な人生。一流企業に勤める夫。上昇していく収入。

 お金の充分ある暮らしがどれだけ幸せか、一番よく知っているのは母親。

 経済力を手に入れて世界は自分を中心に回り始めた

 けれど世界は広い。

 母親は経験不足。世界の一部しか知らない。芸術も分からない。

 投資してそれなりの努力をすれば到達できると踏んだ。

 子供への夢は限りない。将来資格があれば副収入にもなる。

 一流や本物にならなくても、お小遣いが稼げればいいのだ。

 しかし小金程度の芸術など存在しない。

 生き様が演奏に表れることを母親は知らない。

 経験と認識の不足。世間を知っているが、怖いものを知らない。




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