不可解な言葉

 「言えない子なんですよ。」そう言ったんだよねこの人。

 「嘘ついてました。」
 と事実を聞かされて、なぜもっと早く話さなかったのか、驚いて問いただす私に「言えない子なんですよ。」と返してきた。
 自分は気が弱くて、母親に本当のことを言いたくてもなかなか言えなかった。
 単純に解釈するとそういう意味だけど…
 何か引っかかってたんだよね。この言葉に。違和感だよねこれも。
 自分の事を「子。」と表現するのも妙な感じがした。
 もうずいぶん前から大人びた言葉遣いで、格好つけてる20歳過ぎの青年が自分の事を「子。」というのはそぐわない。それに後にも先にも自分の事を「子。」と表現したのは、この時だけの様な気がする。

 「嘘ついてました。」と全く同じ口調だった。
 さらっと平然と、さほど表情も変わらず。「言えない子なんですよ。」ってね。
 これって言わないと駄目って解っているけど、言い出せなくて悩んでた人から出てくる言葉じゃないんだよね。
 
 「言おうと思ってたんですがなかなか言い出せなくて…」
 「言いそびれてしまって…」 「言えずにどうしようかと…」
 みたいな類の言葉は一切出てこなかった。
 「言えない。」なら普通一ヶ月の間悩むでしょ?
 でも悩んでないから「言えない子。」という表現になったんだよね。
 「言えない。」行為と自分をドッキングさせただけの何の感情も入ってない言葉。

 冷めてるんだよ。損得の計算していつ言えばいいか見計らってたんだよね。
 いつしゃべったら、自分にとって有利か不利か、損か得かそれだけなんだよ。
 元々どうでもいいグレード取得。受験してなくても隠して出来るだけ引き伸ばせば、待ち時間としてのんびり羽を伸ばせる。

 母親に話せなかった。でも正確には話そうと思えばいつでも話せるけど、わざと話さなかった。
 こういうことだよね。
 わざと言わなかったのは確信犯だよ。それを誤魔化すには、自分は幼くて子供っぽくて、仕方のない奴なんですよ、みたいな振りが必要。意識的か無意識にかは分からないけど、それで「子。」という表現が出てきたんじゃないかな。 

 一ヶ月間の君の様子から、悩んでたり何か隠し事が有るような雰囲気はなかった。むしろ伸び伸びしてたから、よほど普段のレッスンから開放されて、爽快だったんだろうね。




 さすがだよ。
 母親と同じで悪質だね。
 あの母親から繰り返し聞かされたセリフ。
 「いつもご迷惑をおかけして。」この口先だけの軽い言葉。聞き飽きた言葉。
 少しも相手に対して申し訳ないなんて思ってない。それが見え見え。
 何の感情も入ってない。
 

 それと同じ。
 一緒に暮らして調子を合わせていれば、影響を受けるよね。




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