「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」感想

 グロいのと悪趣味全開の内容。
 あまりのおぞましさに引く。(笑)

 しかしそのグロさゆえに際立つ哀しい愛の物語。

 主人公トッド=ベンジャミンが最愛の妻ルーシーを想う気持ち。

 ミセス・ラヴェットがトッドに恋焦がれる気持ち。

 そしてトビー少年がラヴェット夫人を慕い憧れる気持ち。


 複雑に交錯せず、単純な一方通行。
 なのでとてもシンプルで分かりやすい。

 ミュージカルなのね。元々は舞台の。
 だから音楽も歌も素晴らしい。
 ただ映画で歌われると結構長く感じるよね。
 じれったい。
 台詞ならすぐに済むところが、歌うとそれなりに時間がかかるし。
 トッドが妻子を奪った憎い相手、タービン判事を店に招き入れ、銀の剃刀で目的を果たそうとするのだが、そのシーンで二人が「恋」について歌い上げる。
 ハーモニーを奏でる。(笑)ハモってる。(笑)
 普通のホラーサスペンスではあり得ない。
 悠長に歌ってる場合じゃないよ、と突っ込みを入れたくなる。

 舞台なら音楽を楽しみに、それが大きな目的で観劇に入るけど、映像だと早く物語を進めて欲しいと思ってしまう。



 画像は徹底して暗く、陰鬱で色彩が抑えてある。
 いつも曇りで寒々とした空気を感じる。

 パステルカラーが華やかな映像が二通りのシーンであった。
 妻、ルーシーが登場する回想シーンと、ミセス・ラヴェットのトッドとの甘い結婚生活を夢見る妄想シーン。
 後者の妄想には笑えた。
 奏でられる軽やかな音楽と歌声と、そして色彩のある風景。
 海沿いの街で暮らす二人。ストライプの(マリンルックだね)上下を着たトッドには笑えた。あんな風に明るい陽射しの元で大好きな人と一緒に仲良く居られたら、幸せ。
 それは全ての女性が持つだろう単純な他愛のない夢。
 罪のない希望。願望。

 しかし手に入れるためについた嘘が惨劇を呼び起こす。

 もちろん手を下したのは彼女ではない。
 嘘を信じ込んでいたトッドには、怪しげな老婆に見えた女性の顔を、明るく照らして確かめる発想など浮かぶはずもない。
 最愛の人を、そうとは知らずに手にかけてしまう悲劇。
 オーブンの扉が開き、炎が金髪を照らし出す。
 そこではじめて自分が始末した相手を知るトッド。

 不穏な空気と緊張感漂う音楽と歌声。
 入ってくるワンフレーズは、中盤でミセス・ラヴェットが妄想シーンで歌うメロディーと歌詞。
 彼女が抱いた甘い夢。それのリフレイン。
 視聴者は思い出す。ほのぼのとしたコミカルな夢を。
 壊れる瞬間の直前に思い出させる。
 その残酷さ。

 次に何かが起こるのは容易に想像がつくが、それだけで済ませない作り手の冷酷さと言っていい。持ち上げておいて落とす手法。
 
 この辺りの惨たらしさは、身を潜ませて一部始終を目撃していたであろう、少年の行為へとつながっていく。
 血の海の凄惨さ…。

 ただ血の色をわざと、赤ではなく濃いピンクのようなリアリティの無い、ペンキ(絵の具)のような色にしてるのは分かる。
 追求したいのはリアルさではなく、人の持つ欲望の悲しさ。
 






 正統派クラシックの楽曲で構成された素晴らしいミュージカル。
 でもストーリーはキワもの。
 この融合がこちらの感覚に激しい揺さぶりをかけてくる。
 ポップスを聴き慣れ、電子楽器の奏でる電子音に溢れた日常。
 そこへ美声のオペラを鑑賞し、格調高い優雅な雰囲気を堪能するのと同時に、ゲテモノまがいのストーリーに入っていく。(笑)
 これってどうよ?

 いや~良かったです。 (^^ゞ

 剃刀をかかげて歌い上げるベンジャミンの後ろからそっと重なるヴェット夫人のハーモニー。切な~い。
 
 トビー少年の歌声も素敵でした。
 







 ところでジョアナ役の女優さんを見た時、クリスチーナ・リッチと間違えました。 
 顔形や華奢なプロポーションは似てませんか?
 「スリーピー・ホロウ」を思い出しました。
 ジョニー・デップはメイクの濃い役が多いよなァ。(笑)

 「シークレット・ウインドウ」のモート・レイニー好きでした。 (^^ゞ
 


あらすじ
 イギリス・ロンドンのフリート街で理髪店を営んでいるベンジャミン・バーカーは、ある日タービン判事の策略で無実の罪を着せられて投獄されてしまう。
 15年後、脱獄し水夫アンソニーに助けられた彼は、スウィーニー・トッドと名を変えロンドンに戻ってきた。
 フリート街で彼は、かつて大家で、パイ屋のミセス・ラヴェットと再会。彼女から、残された家族がたどった悲惨な事実を聞かされて復讐を誓う。

 元の場所で理髪店を営業再開したトッドは、判事に付いてる役人・バムフォードに近づく…。



監督 ティム・バートン
キャスト
 ジョニー・デップ (スウィーニー・トッド/ベンジャミン・バーカー) 
 (Sweeney Todd Benjamin Barker )
 ヘレナ・ボナム=カーター (ミセス・ラヴェット Mrs. Lovett)
 アラン・リックマン (ターピン判事 Judge Turpin)
 ティモシー・スポール (バムフォード Beadle Bamford)
 サシャ・バロン・コーエン (アドルフォ・ピレリ)
 エドワード・サンダース (トビー)
 ジェイミー・キャンベル・バウアー (アンソニー・ホープ)
 ローラ・ミシェル・ケリー (ルーシー)
 ジェイン・ワイズナー (ジョアナ)

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