音楽教室の痛い親子~お客様の傲慢

 また嘘だったんだね。
 何でこんな平然と嘘がつけるんだろう。
 その後、数回メールを送り、電話をかけ、結局、生徒の母親に教室まで話し合いに来てもらうように頼んだ。


 いいかげん、こんな不自然で異常な状況から抜け出したい。
 趣味で習ってる方が遥かに自然。
 だけど趣味にもならない。
 本人はもうオルガンに興味を失くし、レッスン後はピアノを弾こうとしている。だから本人の希望通りにピアノを習うのがいいし、辞めてサークル活動に専念するのもいいし。

 一回生の時、ジャズピアノ習う話しも出ていたけど…。
 どうせ母親がNGを出したに決まってる。


              「決別、そして闘い」より一部抜粋

ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』の紹介記事です。
 
「ひとりごと」 
 だいたいお金をケチって楽譜を買わないから、習ってる年数の割りにレパートリーやテキストの数が少ない。
 本当にグレードを目指す人の3分の1くらいしか楽譜の数がない。

 テスト準備に必要な即興のテキストも買おうとしない。
 一冊目は鉛筆の書き込みで余白がいっぱいになってきた。
 グレード目指すんなら何冊も所有してるのが普通。
 だけどこの親子は普通とは違うのだ。

 私は自分のテキストをコピーしてレッスンに持ち込むようになった。
 立て替えたお金を、なかなか払おうとしない。
 それが分かっているから買わずにコピーしている。

 月謝も一冊のテキスト分ほど安い。
 それでもケチる。


 




 いろんなことを我慢してここまでやって来たけど。
 教育熱心で厳格な母親だと思ってた。
 でも違う。
 自分には甘くて物事を探求する姿勢のない人。
 
 楽器店のお客様。
 高額な楽器をお買い上げになったお客様。
 それだけの人。
 それ以上でもそれ以下でもなかった。
 そして見返りのないものには1円も出そうとしない母親。

 元を取ろうとすると余計、首が絞まる。



「音楽教室の痛い親子(酸 欠Ⅱ)」 
 13年間で変わった事と言えば、受付のコーナーが閉鎖され、このご一家が隣の市へ引っ越した事。
 そして数人いた他の生徒は、進学シーズンになるとひとりまたひとりと辞めていき、私の生徒はこの男の子だけになってしまった。
 先生は楽器店の社員ではないから、その生徒の来る時間帯だけ足を運べばいい。
 なので水曜日はこの生徒のためだけに教室を訪れる、そんな日々が続くようになった。


 受付が無くなった事で、ひとつの教室に備わっている機能は分散した。
 楽譜は電車で一駅乗って買いに行かなければならない。
 生徒が休むなどの連絡事項は、ここの教室からバスで15分くらいの別のセンター教室で取り合う事になった。
 受付の人に会ったことはない。
 いつも声だけの応答。お互いの状況は見えない。

 4部屋ある教室の個人の部屋を使用していた。
 最初に始める人がシャッターを上げ、最後の人がシャッターを降ろし戸締りをする。

 生徒の数は少なく、常に閑散とした雰囲気だった。



 生徒との連絡、楽譜やお金の受け渡しが順調なら何の問題もなかったと思う。
 教室自体が機能的で無くなった状況でも、工夫次第で何とかなる。
 回していくのは人間だから、意思疎通と事務連絡さえ行き渡れば他の教室となんら変わり無く仕事をこなせたと思う。



 けれど私が相対してきたのはこの親子だから。

 私にとっては最悪な組み合わせ。



 毎月のレポート提出も発表会費を収めるのも、楽譜の購入も電車でひと駅のセンター教室へ足を運ぶ。
 全てに交通費がかかったけど、当時は仕事だしそれも当然のことだと受け止めていた。
 生徒に新しいテキストを用意するのは先生にとって楽しい作業。

 それですら、あの母親のセコいクレームでケチが付いてしまった。


 発表会費も足りなかった年を最後に、二度と出演を勧めなかった。
 もうあの母親から二度と現金を受け取りたくない。
 あの蒸し暑い日の午後の出来事だけは思い出すと不快になる。
 「酸欠と蒸し暑い午後」参照 

 どのみち生徒も高校3年生になり、大学受験を控えていたので発表会の事はも何も尋ねてこなかった。
  


 あちらが遠方から通い続けているので多少の無理は仕方ないと思った。
 それがあるから遠慮していた。
 感謝もしていた。

 そして週一回のレッスンの多くは支障無く過ぎて行った。
 (トラブル続きだったらとうに辞めていたと思う。)
 だから生かさず殺さずみたいな、かなり中途半端な、何とか我慢しようと思えば我慢できる範囲の生徒側のミスをやり過ごしながら、騙し騙しの日々を送っている状況だった。

 変だと感じてもスルーしてきた。
 自分でも見て見ぬ振りをしてきた。
 あの母親に何か言って波風立てるよりは、静かにやり過ごした方が無難だと感じられたのだ。
 だけどこの二人は私の事を、先生だとは思ってなかった。
 生徒のついた嘘でよく分かった。
 あの嘘の一件が全ての終りで全ての始まり。

ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』の紹介記事でした。
 
 「粉砕された12年 前編」
 「粉砕された12年 後編」

 「上昇志向の果て」    
 「荒 廃」など参照

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