麻 痺~狂った神経回路

「荒んだ心」 
 平気で嘘のつける嫌な大人になった生徒。 
 元々小さい時から、母親に日常的に小さな嘘をついてきたのか。
 教室のレッスンに行きたくないから。
 練習をさぼりたいから。 
 
 ほんの小さな嘘。
 母親はそれに対応するのにいちいち傷ついていられない。
 将来の目標に向かって先へ進むだけ。
 やがて感覚は麻痺してくる。
 自分の気持ちに鈍感になってくる。
 当然、他人の気持ちにも鈍感になる。

 どこの親子にも多少はある葛藤だったものも、子供の成長と伴に二人の間だけの事では済まなくなる。
 だけどこの親子は、第三者を巻き込むことの意味が分かってない。  

 二人だけの世界で止まったまま。





 母親は、自分の望み通りの大学に息子が入れなかったことで強い不満を抱き、息子は息子で自分を認めない親に対して反発する。
 大学入学を機に亀裂が入る。
 生徒の遅い反抗期かもしれない。
 
 こんな荒れた状態だから、他人への配慮は益々無くなっていく。  
 人が何にこだわりを持って生きてるかなんて、知ったことじゃない。
  
 人を自動販売機か何かのように扱う。

     


「決別、そして戦い」 
 2007年の4月に2度目のグレード挑戦.。再び結果待ち。

 待ってるのは「楽しくてしょうがないです。」と本人は上機嫌。
 不合格の方が届くのは早い。
 合格の場合、証書と一緒に送られてくるから少し時間がかかる。
 3週間たっても通知がないと本人は言う。
 「もしかしたら合格?」と期待が大きくなる。
 待ってる期間はレッスンも保留状態。5週目を休むことにした。
 ゴールデンウィークを挟んで3週間のレッスン休止。

 ところが休み明け、本人に聞いたら不合格だったと言う。
 そんな馬鹿な。不合格ならもっと早く通知が来てる。
 もうすでに届いてたのを隠してたんだ。 


 また嘘だったんだね。

 何でこんな平然と嘘がつけるんだろう。
              



 翌日、方針転換して趣味で続けるか、先生を代わるか、よく考えて決めるようメールを送る。返事は数日無く、再度メールする。
 考えてる途中でも良いから、自分の気持ちを簡単に教えてと打ち込んだ。だが返事は無い。
 いつものレッスン曜日を明日に控えた日、私は自宅へ電話した。
 でも留守番電話。とにかくメッセージを入れて待つ。
 4時間後、母親から連絡が入った。


「決別、そして闘い」より対決 
 この人と話してもいつもと同じ。

 「何事でしょうか?」ってはぐらかすようなゆっくりした口調で虚勢を張ってて、私たちに大きな非はありませんからみたいにとぼけた感じ。 

 「あの子は一番子供っぽくて…。」と目の中に入れても痛くない様子。
 私のメールを見せてないし予想通り何も告げてないみたい。 
 のらりくらり、だらだらと1時間半もの会話、これだって無駄。
 明日、生徒と一緒に教室に入って結論を聞かせてくれと頼んで電話を切った。

 今まで母親に教室まで来てもらおうと思ったら車を駐車場に預けないといけないから遠慮してた。
 でももうそんな事言ってられない。



「狂った神経回路」 
 私が一番釈然としないのは、自分の息子が嘘をつくことを、このお母さんあまり大きく受け止めてない、そう感じること。

 悪いことは悪いけど、そんな重大事とは受け止めていない、そんな感じがする。
 「すみません。2回も…」 とテスト不合格だったことに、詫びる言葉はあった。
 けど息子が嘘をついたことは、話題にもしないし、それ自体に注意を払ってないようで、関心事の中に入ってないみたい。素通りしていってる。
 もっと重要なことがあって、その前では取るに足らない事。
 そんな空気が漂ってる。

 この母親がこだわってるのは、グレード取得、そのことだけ。
 資格を取っておけば、将来何かあった時のために、役立つ。
 お金に困ることが無いように。
 だからそれに逆らったり反抗することに対して怒っているだけで、
 息子が嘘をつくことを、問題視してないんだよね。

 
 
 価値基準、狂ってるよ。


 
 
 平然とあんなペラペラ 嘘つけることがもう異常だから。
 
 何の目的も無く、ただ嫌なことを先延ばしにするためだけの嘘。
 何のプラスにもならない、お金を支払って、同時に依頼した件を妨害する。
 こういうことするのは小学生ぐらいまでの子供だけ。
 大人はこんな無意味なことしない。
 「あの子は一番子供っぽくて…」みたいに体面を保とうとしてるのか、それとも本気でそう思ってるのか知らないけど、これって一番大変なことなのに。

 格好つけてるだけの、歪んで脆弱で、
 母親との関係性では小学生の坊やのまま。

 そんな異様な大人になってしまったというのに。
 










「ひとりごと」
 いいかげん、こんな異常な状況から抜け出したい。
 趣味で習ってる方が遥かに自然。
 だけど趣味にもならない。
 本人はもうオルガンに興味を失くし、レッスン後はピアノを弾こうとしている。だから本人の希望通りにピアノを習うのがいいし、辞めてサークル活動に専念するのもいいし。

 一回生の時、ジャズピアノ習う話しも出ていたけど…。
 どうせ母親がNGを出したに決まってる。

ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』の紹介記事でした。
 

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