近所で楽譜を買わない生徒

 生徒には発表会で弾きたい曲があった。
 楽譜が発売されたらすぐに買って練習したいと言っていた。ところが任せて待ってるとギリギリになっても用意して来ない。
 学校と違って毎日顔を合わせない。
 物事が滞ると週単位で先延ばしになってしまう。
 これ以上待ってられないのでレッスン終了後、伝えに行った。
 母親と車の側での立ち話。引越しをされて一年ほどの事。

 このご一家の最寄り駅周辺にも音楽教室が在るらしい。そこへ買いに行ってもらった方が早い。
 徒歩10分位なら自転車ですぐ。本人一人でも充分行けるし、購入してすぐ自宅で練習に入れる。

 そう思って薦めたんだけど、どうも抵抗がある様子。
 母親は「近所の音楽教室では割引が利かない。」と言う。
 その一帯は別の楽器店が点在する地域。

 ここから電車で一駅のところに、うちの楽器店教室がある。
 そこなら会員割引が利く。
 ちょっと手間はかかるけど、母親の様子からはまだそっちの方がいい感触だった。
 土曜日は弟さんのレッスンの日。いつもの様に車でこちらへ来る。ついでに一駅離れたその教室へ立ち寄って、購入してもらう事になった。






 それ以降、新しい楽譜が必要になってどんなに購入するよう促しても、本人たちが買いに行くことはなかった。
 それ以来、一回も自分達が買いに行こうとはしなかった。
 近所の楽器店でもこちらのお店でも。

 秋には仕方なく、私が買いに出向いた。割引になってないとクレームの電話が入ったのはその時の事。
 会費を払ってるから、何が何でも少しでも値引きにならないと気が済まないようだった。
 
                            

値引きにこだわる女 
 自分たちが買いに行かないのは何か理由がある。
 めんどうだから?
 違うよね。だったら毎週ここへレッスンには来ないよね。
 やっぱり少しでもお金がかかる事は嫌なんだよ。
 JR駅前の教室にも専用の駐車場は無い。
 こっちと違ってそこは快速や新快速が停車する場所。駅前にはデパートやショッピングセンターが立ち並んでて、まあ都会だよね。
 気軽にちょっとその辺に車を止めてなんて場所、あの周辺には無い。
 軽自動車ならともかく、パジェロだもん。
 大きいよ。場所取るよ。
 数分でも放置して車を離れる訳にいかない。
 駐車場に車、預けないと駄目だよね。

 西武があるからそこへ入れてもいいけど、一定金額お買い物しないと無料にはならない。

 結局、楽譜が5%割引になったって駐車場代で飛んでしまったら、意味ないし。
 たぶんそれが当たらずとも遠からず…の理由じゃないかな。
 こういう事を生徒は言わないし、説明しないし、不可解だったけど。
 たぶん一度そこへ楽譜を買いに行った時、母親に何か言われたんだと思う。
 
 楽譜を買う事自体も出費になるしね。




ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』の紹介記事でした。


 「受話器の向こうの沈黙」
 「巻きついた鎖」 
 「緊急連絡~パ シ リ」

 「RV車を送迎に使う女」 
 「高所得で貧しい家庭」 
 「豊かさに囲まれた貧困」  
 「貧困から生まれる悪意」 
 「育ちの良さと卑しさと」など参照して下さい。 



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