クラスの変な子

 自分が仕立てた手作りの服を、いつも私に着せていた。
 普段着から、ピアノの発表会の服にいたるまで全て手作りだった。
 既製服を「仕立てが悪い。」とけなし、一切買うことはなかった。
 もちろん自分自身の洋服も全て自分で仕立て、着用していた。
 自分の作る服が世界で一番、そういう認識があったように思う。

 仕立てのオーダーの仕事に加え、自分と娘の洋服まで作っていたから、暇な時間は一時もなかった。
 いつも仕事台に座って作業をしていた。

 話しかけると、うるさがられた。

 


 私の事を周囲の人たちには「お嬢さん。」と表現していた。

 野外学習に決められた体操着ではなく、タイトスカートとジャケットのツーピ-スを着せ参加させた。
 出かける時は、「お嬢さん」だからお出かけ着。
 そんな格好をしているのは、もちろんクラスの中で私一人だけ。
 学校の配布するプリントに目を通しても、決まり事を無視して勝手に判断した。
 舞い上がって学校の指定した通りのものを持たせない。
 自分ひとりが全く違う形状の物を持って来ている私のパニック。
 母にはそれが理解できないようだった。


 仕事に時間を取られるからそれ以外の事が大雑把だった。
 クラスの中で私一人だけお腹に回虫がいた。
 検査でそれが分かり、担任の先生は他の生徒に知られないよう虫下しの薬を渡してくれた。
 生野菜なんかを洗わずに食卓に出していたのだろう。
  
 不潔で不衛生だった。


 両親は絶えずお金の事でケンカしていた。
 そのため母は、日頃から私にお金の事で文句を言い続けた。
 すべり台で遊ぶのもタイツが破れるから禁止した。
 私も小さかったのでそれを正直に担任の先生に話し、担任は驚いて母に注意した。その事で母にまた文句を言われた。

 夏休みに映画感想文の宿題が出た。
 ディズニーの「101匹わんちゃん」と決まっていた。
 一緒に観に行ったが「お金がかかる。こんな映画、大人は全然興味ないのに付き合わされて。」
 そう繰り返し文句を言われた。
 映画の内容より、そう言われたことだけ記憶に残っている。



 友達の真理ちゃんの家に遊びに行き、着せ替え人形で遊んだ。
 真理ちゃんはお人形を、同じのを二つも持っていた。
 着せ替えのお洋服も数々の種類があった。
 うらやましかった。
 私は買ってもらえなかった。
 もちろん、人形の着せ替えの洋服なんかが高過ぎるという理由で。
 それで母は家にあった大きな人形に自分で服を縫って着せ始めた。

 リカちゃん人形やジェニーちゃん人形は手足がスラっと長い。
 着せ替えのお洋服もオシャレだし可愛いしエレガント。
 けど母が用意したのはキューピー人形の巨大化したような、4~5頭身の体長50cmはあるものだった。
 母が次々と縫ってそれに着せていく。

 学校から帰った私の一番目に付く場所に、新しく縫った服を着せてそれを置いてあった。
 人形の顔はキューピーのように漫画チックではなく、リアルな雰囲気だった。

 その人形の風貌や、手作り服の野暮ったさに引いた。

 見た瞬間、言葉が出ずに固まってしまったのを今でも記憶している。

 子供心ではあったけど。



 私が欲しい物を買わなければ買わないでもいい。
 頼んでもいない全く別物を、
 次々と自分の自己満足で与える人だった。
 



           尼崎の異常な家庭 №8 周囲と強調しない母






 尼崎の異常な家庭 
 №1 折れた乳歯
 №2 永久歯の異常
 №3 病院を探さない親
 №4 間違いだらけの治療
 №5 矯正できたかもしれない
 №6 口腔崩壊
 №7 父はギャンブル依存症

 №9 一生分のストレス
 №10 他人より遠い親
 №11 棘のある他人
 №12 肩身の狭いドライブ
 №13 偉そうな伯母
 №14 要らない物があふれた家


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