家の中の他人~間違えた結婚

 ミシンの騒音とアイロンを台に叩く鈍い音、そんな作業場で暮らした。私が生まれた時からの日常だ。
 父親はバイク(カブ)で役所へ出勤する。だから日中は家に居ない。家は母の仕事場だった。一日中ミシンを踏むか手縫いの細かい作業をしていた。

 私は母の仕事しか知らない。
 父親の役所での仕事を具体的に聞いた事はない。
 会話が無かったからそういう話題も出なかったように思う。
 水道局だったはずだ。知っていたのはそういう部署に勤務しているという事くらいだ。
 会社とか市役所でどんな業務が行われているとか、子供の頃は全く分からなかった。自分の親なのに接点は無かった。
 母の仕事だけは側で、生活するその空間で見てきた。
 見てきただけで何も教わらなかった。
 洋裁技術の何一つ教わった事は無い。
 子供に何かを教えるのは手間隙かかる。
 それでなくても仕事で忙殺されている母は私が話しかけても、邪魔にして相手にはしなかった。
 だから接点はない。
 
 
 家に家族がいても孤独な生活。


 衣食住だけがあった。
 食べる物と着替えとお風呂と睡眠を取る場所。
 木造の借地の上に建てられた家に住んでいた。
 冬は底冷えと隙間風で寒い。
 コタツにもぐるだけの冬の生活。
 
 
 それでけの家庭。

 父には趣味が無い。
 競艇に行く事が生きがいなので他に趣味は持っていない。
 サボテンを置いたり、熱帯魚を一時期飼っていた事はある。
 家に居るときはひとりで狭い部屋でテレビを見ていた。
 野球観戦やドラマ(海外ドラマ)くらいだ。

 人に理解してもらえないので話さないのが益々加速していく。
 

 母は自分を取り繕う事だけ。
 他人にも親戚にも見栄を張る、虚勢を張る。
 自分を大きく見せたり、立派に見せたり、素晴らしい家族に見せようとする。
 だから私の成績が振るわないと機嫌が悪い。
 担任の先生に褒められないと狂ったようになる。

 私を見ていない。

 見えてはいるが、見ていない。

間違えた結婚 
 一昨年、設備の整った歯科医院を探して通い続けるうちに自分の育った家庭を振り返るようになった。 
 まともな歯の治療を受けることなく私は大きくなったのだ。
 前歯の不具合と不快を我慢して過ごしてきた。
 我慢しなくてもいいものを我慢し、逆に要らないものを取り込んだ。

 私は母の自尊心を満足させるための代理。

 気が進まない習い事を続け、自分とは合わないクラブ活動に入り、聴きたいとも思わない歌の伴奏をしてきた。居心地が悪くて当たり前だ。



 中学3年までは母の期待に応えるために一生懸命だった。
 合わないものを押し付けられてきた、という認識すらなかった。
 自分では気づかなかった。
 母親が「善」で父親が「悪」という構図の中で成長した様な気がする。
 母親の言うことは全て「正しい」そう思いこんでいた。
 父親が精神疾患だという認識は無かったから。

  
 

一生分のストレス (一部) 
 叔母(父の妹)の家にステレオがあったが、より大きいのを購入した。
 そういう人なのだ母は。
 ピアノもステレオも。
 対抗意識を持ち、釣り合わないものを取り入れてしまう。

 周囲と競い合ったり対抗意識を持つ事だけに関心があった。

 母にとって社会とは、自分の姉妹、夫の兄弟姉妹や親戚の事。
 母にとって社会とはそういう狭いものだった。

 見栄を張り虚勢を張る。 
 それに関わる事だけに反応し、それ以外のものには無頓着だった。



 従姉がもし歯の矯正をしていたら、
 私も矯正できたかもしれない。





カビだらけでも食べ 
 子供の頃、正月に飾っていた鏡餅、今のように真空パックされていないから、お供えから下ろして食べる時期にはカビだらけになっている。
 それをカビの部分だけ取り除いて食べていた。
 青いカビを取り除いても、目には見えない状態で広がっているのだと思う。それをお雑煮にして食べるのだが、口の中がカビの臭いでいっぱいになる。

 嫌でたまらなかったが、子供の頃は我慢して食べていた。
 (いつからか私はカビの生えたお餅は一切食べなくなった。母は食べられるのだからもったいないと決まったように文句を言っていた。)

 「もったいない。」これも母の口癖だった様な気がする。
 金をかけた物はもったいない。
 食べられるのだからもったいない。
 確かにそうだ。
 でも明らかにカビが広がってる食品は不健康だし不衛生だ。
 健康を害する。



 父がギャンブル依存症でなければ、そんなカビのいっぱい生えたお餅なんて捨てていたと思う。
 有意義な事に収入を当てる家ならもっと心に余裕があっただろう。
 カビだらけのお餅なんて食べなかったと思う。

 そんなカビ臭い食品を食べて不快だという感受性すら失う。
 感覚が正常で無くなるのだ。

 そしてそれを止める人はいない。




 いい結婚、いい夫婦ってたぶんお互いの暴走を止めたり、偏りを正したり、世界観が歪まない様に調節していく場なんじゃないかと思う。
 ほとんどの人は結婚して調和やバランスの取れた生活を築いていけるのだと思う。
 どちらの偏りも歪みも調整できない、機能不全状態。
 それが私の育った家庭だ。




 尼崎の異常な家庭
 №7 父はギャンブル依存症
 №8 周囲と協調しない母
 №9 一生分のストレス
 №10 他人より遠い親

 №13 偉そうな伯母
 №14 要らない物があふれた家

 アンバランスな家~有害な環境
 神経を尖らせた暮らし
 裏目に出た職人気質~収入が消える家
 間違えた結婚

 お金、お金と言う割りに雛人形は段飾りの大きいのがあった。
 中学生の時、友達二人がギターを持っていたら購入した。
 私は要らないと言ったのだが。
 頼んでもいない物、欲しいと言ってもない物を強引に買う母。
 見栄からだ。
 友達の家にも見栄を張りたい。
 親戚に競争心を燃やすのと同じだ。


 ピアノや大きなスピーカーのステレオも同じ理由で購入する。

 頼んでもいない物を買い、必ず恩着せがましく言う。
 頼んでもいない物には愛情がない。
 それが母には理解できない。
 人の心情や、人の心の機微が母には分からない。
 



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