親切心という名の横暴~傷と損失

 この人と関わっていると、ろくなことが無い。どこか無理して自分が合わせる形になる。不自然な状況だから歪が生じる。関われば関わるほど事態は悪くなる。

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 井上に手紙を出したら、避けるようになってそれっきり。丹羽は私に運転練習を勧めてきた。丹羽の親が所有する車を借りて、郊外の人の少ない場所を走る事になった。
 これが更なる大きな失敗を招く。

 元々、北海道の様な広い、車通りのほとんどない道を走るのなら大丈夫だろうという考えでいた。そこを走る予定で免許を取得した。
 丹羽一人だけでは運転大変だから、それを補助する目的で。
 まず北海道旅行を想定して免許を取ったんだよ。
 それを高槻市の曲がりくねった細い坂や傾斜の多い田舎道を走る状況になる。
 1~2回は上手くいった。
 そこで止めておけばよかった。
 元の想定とどんどん違ってくる怖さ。
 私も腹立たしさや複雑な感情を抱えたまま、ずっと丹羽に引っ張られる形で申し出に応じていた。

 3度目位だったかやはり田舎道を走っていたら、対向車が見えた。

 「止めて!寄せて!!」
 助手席にいた丹羽が 大きな声で私に指示した。
 私は反射的にハンドルを少し左に切った。

 車の方向指示器がガードレールに当たった。
 降りてみると破損していた。

 ハンドルを握っている私に100パーセント責任があるのは分かっている。

 だけど自分の感覚ではいい距離で寄せていた。
 あの命令口調が無ければ大丈夫だったのだ。
 ぶつかる事はなかった。
 助手席の人間が、見える位置の違う運転席の相手に指図したのも変だし。


 その修理代は7~8万近くかかった。
 もちろん私が支払った。


 そして思った。
 この人と関わっていると、ろくなことが無い。
 どこか無理して自分が合わせる形になる。
 不自然な状況だから歪が生じる。

 関われば関わるほど事態は悪くなる。

 丹羽は我が強く押しが強い
 本人はそんなつもりはないのだろうが、強引だ。
 とにかく物言いが強くて命令口調だ。
 どうしても押し切られる形でどんどん自分の本意とは違う方向へと流れて行く。

 本人はそんなつもりはない…。
 だが現実に起きている事は悪質な嫌がらせと同じ位、私に大きなダメージを与えた。
 



 連絡があっても距離を置くようにした。
 互いに別グループ(派閥といってもいい)に属するようになった。

 丹羽が関わったグループは、常に行動を共にする結束の固い村社会的なお付き合いをしていた。

 グループの山本から旅行のお土産をもらったと、香水を見せられた事があった。
 「あんまり好き違うわ。」丹羽は吐き捨てるようにそう言う。
 その香水は好みではないようだった。
 それでも本人の前では嬉しそうにお礼を言ってたに違いない。



 丹羽はその後、北垣と北海道ツアー旅行に出かける。
 それを電子オルガンの先生(丹羽と私が習っている共通の先生)から間接的に知らされる。
 まるで嫌がらせのダメ押しのように。
 


 またしばらくして丹羽がFS30(電子オルガンの機種)を購入したと聞かされる。
 週の内、数日の短時間の仕事だ。
 普通の会社勤めの様な収入がある訳もない。
 また親が全ての費用を用立てたのか…。
 丹羽は家でくすぶっているのが嫌でこの仕事に就いた。
 女性の友人、コミュニティが欲しかっただけなのだ。
 収入が必要だった訳ではない。
 最初からこの仕事に就く動機が違ったのだ。

 何もかも違い過ぎた。


 口約束だけで消えてしまった夢のようなレンタカー旅行。
 井上理恵はホントに口先だけ
 本人は、ただ冬の間中スキー旅行を楽しんだだけだし。
 家族を盾に約束破りも裏切りも済ませてしまう。
 自分は何の努力もしない。

 二人とも家族というバックボーン、経済力を持った家族込でしか私と関わろうとしない。
 親の車を貸してやればいいだろう。それで気が済むだろう。
 そんな安易な発想だ。
 彼女たちにとっては痛くもかゆくもない。



 私一人が無駄に動き、話が違う方向へ逸れて行った。
 元々の計画は完全に無効になり、経済的損失だけを被った。



 やってられない。


迷惑なおねだり女~欲しがる癖は罪 
 井上は「また乗せてね。」と軽い口調で言う。
 『車を買って乗せてよね。』という意味だ。
 私が何の目的で車の免許を取ったか、そこを飛ばしてよく平気でそんな言葉を口にする。
 『ドライブに連れてって。』
 『免許を取ったら、日常生活で車を乗り回せばいいでしょ?』
 『車を買えばいいでしょ…。』井上にとっては何もかもが簡単だ。

 免許を取ったら誰でも簡単に車を買えると思ってる。
 経済的に成り立つとかどうとかを、井上は全く理解していない。
 私は自営の母と二人暮らしだ。
 慢性的に余裕が無くなってしまう。

 その意味も分かってない。



 駐車場も無い駅前に住んでる私に「また乗せてね。」なんて、どういう料簡でそんなセリフが出てくるのだろう。

 井上は家族におねだりと甘えるのが当たり前の生活をしてきた。
 だから簡単に考えているのだ。




 一年後に向けて毎月積み立てていけば、夏には北海道旅行の費用は充分貯められたはずだ。
 けれどルビーの指輪を買ったり、スキー旅行したり、入った分はとにかく全部使っていたのだ。


 バイトの経験すらほとんどない井上理恵。

 そして自分の事を知らなさ過ぎる。

 金銭の節約、倹約など考えた事も無い。
 お金の心配をしたことが無い。
 欲しい何かを我慢して貯金した事がないのだ。

 預貯金できない性格だと知らない。自分を知らない。
 ねだって生きる。
 それが井上の人生観、価値観だから。


 それで1年先の計画を立てる。

 約束の重さも知らない。

 言葉の重さも知らない。

 実行しなかった時、相手がどれだけ傷つくかも知らない。



 観光バスツアーの北海道旅行だったら、私は話に乗らなかった。
 仕事がきっかけで知り合ったから、趣味や嗜好が違う相手だ。

 それでも合わせなければいけない。
 そんな義務感に縛られていた。
 丹羽もそうだと思う。
 でも私ほど我慢強くはない。
 丹羽は私より、豊かでわがままが許される環境に育った。
 

 井上の「おねだり」が私と丹羽の接点。
 プライベートでは最初から共通の話題が見いだせなかった。
 趣味や嗜好が違い過ぎた。
 「どっかへ遊びに。」「旅行に行きたい。」
 そんな井上の『欲しい』が私と丹羽の接点。

 井上のおねだりが無ければ距離があった。
 いい距離を保ったまま、付かず離れずで傷つかずに済んだ。 
  
 自分を知らない女の子は罪だ。

 罪深いと思う。
          迷惑なおねだり女~欲しがる癖は罪より

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