長い孤独の果て~歪な対人能力

 任せて安心じゃない。螺旋階段を猛スピードで駆け下りて行く様は野生の小動物のようだった。首を揺らしながら前かがみで降りるS。
 後を追う私はその時、Sがウォーキングシューズを履いている事に気づいた。
 茶色で分厚い皮の幅広タイプのだ。
 私はパンプスだ。ヒールこそ高くはなかったが走るのには適していない。その日、走るなどとは全く想定していなかった。当然だ。
 都会のショッピングモール。最上階のフロアへランチに訪れた。
 その後、お茶行きましょうという流れに。
 だが天気予報通り、雨がパラつき始めた。折り畳み傘を持っていなかったSは地下へ降りようと提案し、そこからカフェ探しが始まる…。
 
 
 友達がいなかったこの女は他人と意思を確認しながら時間を過ごす事に慣れていない。
 当たり前のようにキャッチボールをして私たちはコミュニケーションを取る。
 だがこの女はそういう体験が無い。

 一人で過ごし、一人で行動するのが当たり前になってる。

 長い時間に染み付いた生き様。
 他人を必要としない。
 必要だが得られなかったものだ。

 その孤独の時間の長さは私には想像もつかない。
 
 地下街を走り回り、結局席の空いてるカフェは見つからなかった。
 その間、立ち止まる気配も見せない。
 こちらの様子をうかがう事もない。
 側にいる他人は存在していない。
 
 土日は混んでいる。それすら知らない。

 対話の経験が少ないから人の心の機微も分からない。
 幼稚だ。
 純粋で素朴だが…。
 小学生の様なのだ。

 薄暗い店の螺旋階段を駆け下りるのは危ない。
 文化的にエスコートして来たつもりのランチの時間が台無しになった。 
 対話できない小動物、それがこの人の素の顔だ。


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