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zoom RSS 見下すのは平和な家の子

<<   作成日時 : 2016/05/21 09:48   >>

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 丹羽登紀子のお父さんは普通の会社員で、お母さんは看護師だと言っていた。
 共働き家庭だ。
 そして兄と弟がいる。
 お兄さんはすでに社会人で働いている。
 働き手が複数いるから、その家の女の子は家事手伝いをする。
 時には家族を駅へ送り迎えをし、家事をしていれば誰にも文句を言われない。

 自分が得た収入で大きな買い物をした事は無い。目標金額のお金を貯めた事が無い。家族におねだりと甘えるのが当たり前の生活。
 子供の頃からのそれが当然の暮らし。
 バイト経験はあっても、それはお小遣い稼ぎ。
 両親は長男の就職祝いに車をプレゼントし、そのお兄さんは休日にスキー、サーフィン、ゴルフを楽しむ。
 郊外の一戸建てに家族5人で暮らす日々。

 それだけの人生つまらないから、電子オルガンを教える。
 収入を得るのが目的ではない。
 人付き合いと社交の場を求めていたのだ。
 

 井上理恵も共働き家庭だ。兄が一人いる。
 お母さんは保険の外交員をしていると言っていた。
 普通の事務職より高収入。
 丹羽の母親、看護師長(?)もそうだ。
 お母さんの収入が一家をより豊かにする環境。
 家にいる時間が少ない分、埋め合わせで子供に注がれるのは遊興費、教育費。
 楽器や月謝、楽譜代は親が全部支払ってきたはずだ。
 井上もお兄さんもスキーが趣味らしい。
 兄妹でスキー板など一式を所有し、シーズンには装備して出掛ける。

 井上も丹羽もバイクや自転車を使っていた。
 自宅の駐車場は家族の持ち物でいっぱいに違いない。


 彼女たちが育ったのは、働き手が得た収入を家族のために使う、それが当たり前の家。
 皆が力を合わせて過ごす家。

 深刻なトラブルの無い平穏な家庭。 

 そんな環境で育ち、それが当たり前でいる女の子。
 自由にのびのび暮らしてきた。奔放に遊んでても何も困らない。

 特に大金持ちってわけではない。平均的な家の子だと思う。
 彼女たちの暮らしてきた環境が普通なのかもしれない。
 だけどあまりに甘く何もかもが通用し、平和過ぎる。





 私一人が気の進まない二人を強引に誘った訳じゃない。
 3人の意見をすり合わせて決めた。
 丹羽がまだ行った事の無い北海道へと行き先が絞られて計画を立てた。
 盛り上がったその時の状況は二人が一番よく知ってるはず。
 だからエネルギーと時間と費用をかけて私は教習所へ通った。
 絆を信じて。
 目標がある、そのための免許取得、そう信じて。


 
 欲しいものを我慢して節約した。
 電車とバスを乗り継いで通った。
 雪の降る日が続き、凍えながらバス停で待った。



 
 井上が最終的に旅行できないと返答した後、丹羽は兄がサーフィンやゴルフに行くと話を振ってきた。
 
 丹羽は私が仮免取得したあたりから態度を変え始めた。
 元々免許が有って運転し慣れてる丹羽ひとりに、どうしても負担がかかる。
 だから鬱陶しくなったのだ。

 丹羽は北海道へのレンタカー旅行に行けなかった事を内心喜んでいたと思う。

 だけど私に悪いから、兄のレジャー、サ−フィンはどう?みたいな感じで言ってきたんだ。
 そうやって話がどんどん違う方向へ行く。
 サーフィンにゴルフ…。
 私がそれを始めようとしたらまた一から準備しないといけない。
 教習所に何のために通って免許取ったのか分からないし、それ全く生かせないし、今度は別の、よりお金がかかる遊び。
 もうついて行けないと思った。
 それにお兄さん絡みだとまた肩身が狭いレジャーになる。
 丹羽は自分の兄だから何の気兼ねも無くていい。
 ふんぞり返って大きな態度でいてもいい。気楽だ。
 でも私は違う。それじゃ全然意味が無い。



 
 深い考えとか無い二人。
 その時の思い付きと気まぐれ。

 とにかく荒っぽい。
 教習所へ「もう申し込んだ!?」
 あの時の強引な物言い。
  
 私は両親が離婚した事は話していた。
 母と二人暮らしなのは知っている。
 二人とも私のマンションを訪れた事がある。
 阪急もJRも徒歩すぐで、自転車も要らない便利な場所に住んでるって知ってた。
 知っててこれ…。



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