薄っぺらな知性

 「作曲は難しいけど、個人レッスンで習う演奏は、楽譜通りに弾くだけだから簡単だと思うんです。」
 母親に昔、こう言われた事があった。
 生徒がまだ小学生の頃、「グレード取得させます。」って一人で教室にやって来て、私にそう伝えた時の事。

 私は黙って聞いてるだけだった。
 その頃、生徒は練習を嫌がってた。
 目の前のハードルをひとつひとつ超えるのに手一杯の時に、そんな先の高い目標を掲げられても…。

 あまりにも現実感がなく、その時は聞き流してやり過ごした。

 楽譜通りに弾いても合格しなかった。
 10年後の結論がこれ。





 今もハッキリとはしてないんだけど、このお母さん、音楽のグレード試験を事務系の技能検定と性質が同じと思ってるんじゃないかな。

 事務関連の技術は速さと正確さが合格ラインを決めるよね。
 グレードの合格ラインって制限時間内に指をどれだけ速く正確に動かせるかじゃないからね。
 一番必要なのは、演奏にどれだけ伝わってくるものが有るか…。
 これって理屈じゃないし、言葉にし辛いんだけど。

 だから事務関連の技術資格と、音楽の資格は異なるもの。
 これをこのお母さん認識してなかったのかもしれない。
 

 息子は独学でピアノの超難しい曲をすらすら弾けるようになった。
 模倣至上主義だよね。コピーなんだよ。
 真似という枠組みの中だけで完成してしまった。
 これがこの人の育つ過程で培ったもの。

 母親の掲げた夢や希望を息子なりに体現したものかもしれない。

 退屈で気の遠くなるような指の訓練、単調な指の鍛錬を一切飛ばして、華麗な曲の演奏という美味しいとこ取り。
 なので音の強弱は均一化されている。
 生の演奏でもイヤホンから聴き取った音のように聞こえるのはそのため。 
 



 自分にとって都合のいいところだけ取ろうとする。

 自分が楽しむ事に終始してる。

 オルガンのグレードテストがつまらなく感じるのは当たり前だね。
 元々出来上がった芸術性の高い贅沢な曲を奏でるほうが楽しいに決まってる。


 息子はそちらへ傾倒し、オルガンのレッスンは上の空になってしまった。

 それを趣味で楽しむなら問題ない。
 ピアノもオルガンも人生に彩を添える趣味なら素晴らしい事。


 ここへ母親が最初に決めた目標にこだわり続けるから、話がややこしくなる。









ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』


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