金への執着

 規約なんて読まなくても常識的なことだよ。やっぱり変だよ。 
 一事が万事っていうけどその通りだよ。
 長い間このお母さんの事教育熱心だと思ってたけど、なんか違うような気がする。
 細かいお金にうるさいんじゃなくて支配的なんだよ。
 全部自分が取り仕切らないと気が済まない。それだけだね。
 本当の意味でお金を大切に使ってはいないよ。
 こういうのって現実感覚だから、自分の子供がいったいどんな習い方してるかなんて、一緒に暮らしていれば分かるよ。
 本当に熱心だったら要項ももっときっちり読むし、緻密にきめ細かな対応してるはず。
 



 非合理的な習い方のせいで、遠すぎて子供たちは自分の足で通うことも困難だし、いざ楽譜を購入となっても、近所の楽器店では割引にならない事が引っかかって買うのをためらう。
 子供はママの文句や愚痴を日々聞いてるからね。

 波風立てずにやっていきたい坊やが自分から積極的に買いには行かないよ。
 必要な教材だとしても。


  *     *     *     *     *     *     *     


 他人には何も与えない生き方。


 贈り物をすると相手は喜ぶ。相手に「喜ぶ」という感情を与える。
 贈り物も何もしないと、相手には「喜ぶ」という感情は与えられない。
 物を送って相手の気持ちに何らかの変化を呼び起こす。
 単にお金を払って物を移動させるのではなくて、感情を与えられたり与えたりする行為。
 同時にそれは「喜ぶ」を与えるだけでなく、不快な感情を解消する効果もある。


 母親は自分達が失敗しても、相手に失礼があっても、全て口先だけの軽い謝罪の言葉で通してきた。
 親が手本で示すことを子供は受け入れ消化してきた。
 他人のために何も与えない生き方。
 それが一番自分達が損をしない生き方。
 だから子供は、相手の中に怒りや不快感が残ったままだという事すら、気づかないし頓着しないようになった。



 生活の中に染み付いた生き様。
 それが演奏に表れる。
 何も与えない。感情を与えない。喜びを与えない。感動を与えない。
 自分だけが楽しかったらいい。そういう生き方が表れる。
 何も犠牲にせず、自分達が取り込む生き方。相手を遮断して成果だけ得ようとする生き方。
 母親が暮らしの中で刷り込んで、日々行き渡らせた生き様。

 出費を押さえたのと引き換えに、子供は感受性を鈍らせた。
 芸術に関わって、一番大切なものを鈍らせた。
 情緒は欠け、感性は鈍り、人の気持ちに無頓着になり、広く感動を与える事が必要な音楽性からは、程遠い場所に行ってしまった。

 「少額の見返り」
 「要綱を読まない女」
 「強欲の果て」より

                            
ノンフィクション
『エリート志向の闇~平気で嘘をつく子供』

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