信用できない町医者~無関心な親      

 私のような歯並びを矯正できると知ったのは、もう少し後の事だ。
 雑誌に歯科医院の広告があって写真が載っていた。
 矯正前の歯は、かつての自分のように完全に奥側にあった。
 噛み合わない奥に生えた歯でも動くのだと知った。 
 抜歯する必要など全く無かった事を知らされた。

 その時の衝撃が一番大きかった。

 有ればどうにかなった。
 何も知らずにいた。
 教えてくれる歯医者に当たらなかった。
 そんな歯医者を探す術が無かった。
 









 前歯をブリッジにしてからは、みかんの房の果肉を上手く挟んで取って食べられるようになった。
 物をかじるのが順調にできるようになった。
 そういう利点はあった。
 だけど調子良かったのは最初の7~8年だった。
 それ以降は人工の歯と歯茎の間に隙間ができて、それは年を追うごとに大きくなっていった。
 人間の骨格は年とともに変化していく。
 人工の歯が合わなくなってくる。

 削った犬歯をまた痛めてブリッジを交換する…。
 治療中に前歯が無い状態になるのだろうか。
 仕事はどうしよう…それにどの歯医者にすればいいのか。
 何もかも考えるだけで憂鬱になった。

 
 健全な歯を抜いてしまった事の後悔が年と共に大きくなっていった。
 (前の歯を4本も抜歯したのは無謀だった。
 ブリッジにするにしても欠損の本数には決まりがあるらしい。
 中央の2本は残しておくべきだった。最悪の治療だった。)













 小学生の時、同学年の女の子が歯に矯正器具を付けていた。
 出ている歯を直すためだと聞いた。
 前に出て開かないように、締めるための金具というのは分かった。
 母がその女の子のお母さんに話を聞いていた。
 ただ、病院を紹介してもらおうとは思い当たらなかったようだ。
 私の口の中に入って生えている歯、こういう状態の歯が移動するなんて考えもしなかったのだろうか。
 想像もつかなかったのかもしれないが。

 私の歯の事など真剣に悩んでなかったとも言える。







 矯正できたんだ。
 永久歯が生えてすぐに例えば
 大阪歯科大学、付属病院 
 のようなところで検査していたら、何かいいアドバイスはもらえたかもしれない。

 矯正の技術が進歩してたと思う。

 その時は無理でも、いずれは海外からそういう治療法が入ってくるなど、何か将来希望の持てるアドバイスをもらえたんじゃないかと思う。

 子供の頃、歯の知識のある歯医者さんに巡り合えて、歯の健康を考えてくれる治療法を教えてもらえたとしたら、どんなに素晴らしかったことだろう。






 でも、もう遅い。


 そういう絶望感から、もう歯のことは考えないようにした。

 あきらめてしまった。





 以降、長い年月をそういう閉ざされた状態で過ごすことになる。



        尼崎の異常な家庭 №5 矯正できたのに



 尼崎の異常な家庭
 №1 折れた乳歯
 №2 永久歯の異常
 №3 病院を探さない親
 №4 間違いだらけの治療

 №6 口腔崩壊
 №7 父はギャンブル依存症
 №8 周囲と協調しない母
 №9 一生分のストレス
 №10 他人より遠い親
 №11 棘のある他人
 №12 肩身の狭いドライブ
 №13 肝心なものが無い家
 №14 要らない物があふれた家



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